2017年春季京都大会まとめ(1)

2017年春季京都大会まとめ(1)

2017年の春季京都大会は龍谷大平安が2年ぶりに王座奪回で幕を閉じました。
いつものようにこの春の印象と、現時点での夏の予想をしてみたいと思います。

まず春季大会の総括ですが、これはセンバツ大阪大会奈良大会、また昨秋、大注目となった東京大会の決勝・早稲田実業と日大三等も観戦した上での感想ですが、どこの地域も今年は「抜けたチーム」がないというのが第一印象。
もちろん大前提としていつもの強豪中心に力のあるチームは多々あるのですが、「圧倒的」かと言われれば答えに困ってしまうというのが観戦していての感想です。

京都の話をしますが、まず優勝した龍谷大平安。
2014年センバツ優勝チーム、2016年センバツ4強チームと比べて投手力は「遜色ない」とまでは言いませんが、かなり整備されてきていると思います。

平安エースの高井投手

3年の高井、2年の小寺、両元U15代表投手がWエースとして君臨。
さらに大福、吉村、島田投手と力のある控え陣が居ますので質量ともに投手力は京都一だと思います。
夏に向けて投手陣の課題は「絶対的エース」と呼べる存在に高井、小寺両投手のどちらかが君臨できるようになるか否かだと思います。

平安の場合課題は攻撃陣だと思います。
春季大会、準決勝の立命館戦は「強いなぁ」と正直感じました。立命館の今年の投手陣のレベルですがこちらも京都でトップクラスだと思います。
それを完全に打ち崩していました。

一方、直接観戦できていませんが、春季近畿大会では滋賀の彦根東の増居投手に2安打に抑えられ初戦敗退。
京都大会でも準々決勝の京都共栄戦、また昨秋も準決勝の東山戦等、打てない時は無抵抗でズルズルと進んでしまう傾向があります。
元々平安は自分たちの描くゲームプランを崩されると脆い側面があると思っていますが、今年は特にそれが顕著。

ただし選手個々のポテンシャルは決して低くなく、ドラフト候補にも挙がってくるでしょう岡田選手、2年生の松田選手を擁するクリーンアップは破壊力も抜群。
足りないのは昨年の冨田、小川、久保田選手のように苦しい場面でもチャンスを作りクリーンアップに回していけるような存在だと思います。

2年生ながら4番を打つ松田選手

あと、少し原田監督中心に「完璧」を求めすぎているのでは・・・というのも昨春あたりから少し感じます。
ゲームプランが崩されたときは、例えば大阪桐蔭のように「力づく」で相手を倒すような力強さ、荒々しさを夏までにつけて欲しいと期待します。
平安で言えばまさに2014年チームはそんなチームだったと思います。

次に63年ぶりの春季大会決勝進出と大躍進だった綾部。
個人的なことを言えば、こうやって地方大会を生観戦するようになったのは2008年の春季京都大会、後巨人入りした杉山投手擁する綾部と、その年センバツ8強入りした平安の準々決勝を観戦するために太陽が丘へ行ったのが最初。
あれから9年。

63年ぶり準優勝の綾部

春季大会でまたも旋風を起こした綾部ですが、当時の杉山投手のような超高校級の選手は今年は不在。
ただエース四方裕投手、野手も湯浅選手など軸になる選手がしっかりしていて、それぞれ力もあり非常に楽しみなチームになっていると思います。

綾部の湯浅選手

ただし正直この春はクジにも恵まれたことも事実だと思います。
北部の一次ゾーンは昨秋2次に進んだ福知山成美、峰山、西舞鶴、日星が同組に集中。
また二次戦初戦で龍谷大平安と立命館宇治、京都成章と京都翔英、東山と塔南等早い段階で有力チームが「潰し合う」展開の中、今名前を挙げたチームとは決勝の平安戦まで当たらなかったことも事実でした。

ですが誤解のないように「フロック」という意味でなく、二次戦初戦、昨秋4強の乙訓や、準決勝で京都国際を終始圧倒するなど実力は十分示しました。

夏に向けての課題は、今触れた通り、今年は例年以上に「ノーシード爆弾」が転がっています。
初戦から綾部も強豪私学とぶつかる可能性も否定できません。

四方投手であれば、ある程度どんな相手でも試合を作れると思いますし、攻撃陣も対応できると思いますが連戦になるとさすがに厳しいと思います。
ですので、控え投手が二次戦レベルの相手に一試合完投できるほどに投手陣の底上げが出来るか否かが、夏再び綾部旋風を起こせるかどうかにかかってくると思います。

次に4強入りしたチームでまず立命館から触れさせて頂きます。

今年の立命館は投手陣が2年前の春季準優勝時よりも、さらにハイレベルで頭数も揃っている印象。
エース多田投手は球威もありますし、森山投手もキレのあるストレートとスライダーを武器に持つなど完投能力も高いですし期待できる存在です。

立命館エースの多田投手

ただ龍谷大平安戦では完全に打ち込まれた等、上位勢に通用するための底上げが必要。
また攻撃陣はやや昨年のチームに比較すると、クリーンアップのパワフルさなどで劣るかなぁという印象を受けています。
「立命館と言えば徹底的に送る」「立命館と言えば徹底的に走る」など攻撃面での特徴が出てくればさらに面白い存在になると思います。
十分に夏の大会、優勝候補の一角だと思っています。

4強次は京都国際。
昨年のチームはソフトバンク入りした清水選手筆頭に、土居、木村、中西選手など攻撃陣が本当に豪華でした。

それに比べると、国際もやや攻撃陣は昨年ほどではないと思いますが、今年は特に粘り強いチームカラーだという印象。
準々決勝の東山戦も粘って粘って最後はひっくり返したといったゲームでした。

今年の京都国際は投手力が注目です。
エース横江投手、2年前の秋4強入りに貢献した中川英投手が揃っています。
この春は二人ともやや本調子を欠いたように思えましたが、夏に向けて調子を上げてくると京都国際も十分に甲子園が射程に入ってくるのではと思っています。

京都国際エース横江投手

さて、この春の感想ですが、4チームに触れただけでかなり「長い文章」になりましたので、複数回に分けてお話させて頂ければと思います。

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