2019年春季東京大会を振り返って

2019年春季東京大会を振り返って

2019年4月29日、東海大菅生が25年ぶり2回目の優勝で幕を閉じた春季東京大会を振り返ってみたいと思います。

東西比較

終わってみれば秋と同じ決勝。
西東京勢の東海大菅生と国士舘がファイナルに進み、東東京勢は2018年度に続き決勝に進むことが出来ませんでした。

しかし全体をここで振り返って、本当に決勝の顔ぶれだけで「西高東低」と言えるのかを検証したいと思います。

一次戦の勝ち上がりチーム

一次戦を勝ち上がってきたのは次のチーム。
西東京勢が28チーム、東東京勢が20チームとここでは大きく西東京勢がリードしました。

西東京勢 東東京勢
昭和
帝京八王子
日大二
東村山西
富士森
小平南
日大鶴ヶ丘
府中東
専大附
八王子実践
国分寺
中大杉並
成城
明大明治
練馬
桐朋
府中工業
狛江
清瀬
聖徳学園
三鷹中等
総合工科
玉川学園
法政大高
明大中野八王子
秋留台
工学院大附
日野
深川
小岩
荒川商業
東海大高輪台
青山学院
大森
足立西
篠崎
東京
九段中等
紅葉川
郁文館
小松川
駒込
堀越
豊島学院
朋優学院
京華商業
駿台学園
武蔵丘
28チーム 20チーム

二次戦での東西直接対決の結果

では次に二次戦で東西が直接戦った試合数と、その勝敗結果を見ていきたいと思います。

※大山・蒲田・目黒学院・六郷工科連合は4校共、東東京に所属するので、東東京としてカウントします。

※岩倉の不戦敗はノーカウントにします。

まず直接対決は60試合ありました。
各ブロック毎の勝敗は以下の通りでした。

[ 国士舘ブロック ]
西8勝4敗

[ 小山台ブロック ]
東7勝4敗

[ 関東一ブロック ]
西11勝10敗

[ 東海大菅生ブロック ]
西8勝6敗

[ 準決勝 ]
西2勝0敗

[ 合計 ]
西33勝27敗

夏のシード獲得チーム

夏のシードを獲得した合計16チームの内訳は以下の通りでした。
※赤字はベスト8進出チーム

ここでも西東京が9チームに対し、東東京が7チームと西東京が優勢に終わりました。

西東京勢 東東京勢
東海大菅生
国士舘
早稲田実業
國學院久我山
日大三
片倉
桜美林
法政大高
日大二
関東一
小山台
帝京
紅葉川
雪谷
小松川
二松學舍大附
9チーム 7チーム

東西比較のまとめ

組み合わせに左右されるため、必ずしも上記で取り上げた数値通りだとは思いませんが、それでも客観的に見て西東京勢が優勢であると言えそうです。

印象に残ったチーム&選手

まず優勝した東海大菅生では、絶対的エース・中村晃太郎投手も光りましたが、やはり印象深いのは準々決勝の日大三戦
スリーランホームランと、満塁ホームランの2打席連続アーチを見せた長距離砲・杉崎選手
前後を打つ成瀬選手、西垣選手と形成するクリーンアップは超強力でした。

そして準優勝の国士舘
印象に残った選手はまずエース右腕の白須投手
秋より球威も増してきましたし、なにより奪三振率が高かったです。
大事な場面で三振を奪えるようになってきているだけに、一方で目立った四死球が多い面を修正したいところ。
野手陣は黒澤選手を筆頭に、下級生の鎌田選手も光りました。

ベスト4組では小山台
大黒柱・安居院投手に、ホームグラウンドかと見間違うばかりの大応援で盛り上げたファンも特筆物。
夏も勝ち進んでいけば、この大応援が再び神宮を席捲することになると思います。
相手チームにとっては、この「空気」も大敵になるのではと思います。

そしてもう1チームは関東一
土屋投手、谷投手のWエースに、身体は小柄な選手が多いのですが、平泉選手、平川選手、野口選手など野手陣は長打力も兼ね備えています。
派手さはありませんが、安定感では東東京随一と言えるのではないでしょうか。

ベスト8組では昨夏、甲子園4強の日大三
井上投手、廣澤投手の150キロコンビは機能し始めると、一気にこれまでの東京の勢力図を変えてしまう破壊力があります。
野手陣も昨夏から経験している前田選手など素質のある選手が揃っている印象ですが、一方でまだチームとしては機能しきっていないように感じました。
個々のポテンシャルは高いだけに、チーム全体としての破壊力が昨夏に追いつけるか・・・残された2か月ほどに注目です。

帝京はまだ2年生ながら、大阪から乗り込んできた小松選手のセンスが光りました。
不安材料は投手陣か。
エース田代投手は、左から球威のあるボールを投げているので、一つ波に乗っていけば高校生は短期間で急成長する可能性があるだけに、名門復活へのキーを握っている存在。

早稲田実業は投打のバランスが非常に高いと感じています。
エース右腕の伊藤投手、宇野投手ともに力があります。
打撃陣も生沼選手を中心に、どこからでも得点を奪うことが出来ます。
チームの潜在能力は、東海大菅生、国士舘と比べても遜色がありません。

國學院久我山は今年は本当に大型チームです。
エースの高下投手、中継ぎの問矢投手など経験も豊富。
野手陣も力があるので、本気で夏の甲子園を奪い取りに行って欲しいと思います。

小山台に4回戦で敗れはしましたが、同じ都立の紅葉川も面白い存在。
小山台戦も序盤で先手を奪えていれば、逆の展開もあったのではないかと見ています。

もう1チーム、東東京勢の都立では雪谷も忘れてはならないチーム。
タイプの異なる複数の投手陣、攻撃陣も國學院久我山の強力投手陣にも負けていませんでした。
東東京は混戦模様なので、十分に甲子園を狙っていける位置にいるのではと思います。

二松學舍大附もチームとしての安定感が非常に高いチーム。
大庭投手、海老原投手と経験豊富な投手陣も擁しています。
秋春ともに、ベスト8前に東海大菅生に敗れましたが、その「難敵」は夏は東西に分かれ直接対決はありません。
組み合わせ次第では、もっと注目されていておかしくない潜在能力のあるチームだと思います。

日大二も面白いチーム。
春は実力派の東亜学園を破ってシード権を獲得しました。

桜美林も帝京をあと一歩まで追い詰めました。
実力は差がなかったはずです。
夏も面白い存在です。

夏はノーシードになりましたが、東亜学園も実力はシード校と遜色がありません。
U-18日本代表第1次候補選手37人に選出されている、エース左腕の細野投手を中心に、久しぶりの甲子園を狙える体制が整ったチームです。

あと、もう1チーム挙げさせていただくなら、これまで名前を挙げてきたのは、ここ数年上位をにぎわせている野球強豪校ですが、それに匹敵する存在なのが都立の小平西
春は秋と異なり、エースナンバーが入れ替わりましたが、左の野崎投手、右の林田投手とタレントが揃っています。
春も強豪関東一をあと一歩まで追い詰めた地力もあり、西東京最大のダークホースに成りうる実力のあるチームです。

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