2017年の秋季大会を振り返って、今年の東京高校野球の展望を語ってみます。
昨秋のおさらい
日大三が7年ぶり13回目の優勝。
佼成学園も50年ぶりに決勝にコマを進め、大躍進となった大会でした。
また早い段階で有力チームの「潰し合い」も目立ち、昨夏の甲子園に東西東京代表として出場した、二松学舎大附と東海大菅生が一次戦で対戦。
敗れた夏の甲子園4強の東海大菅生が、たった一戦で姿を消すなど波乱要素も多い大会だったと思います。
今年は日大三中心か?
秋の時点では正直、神奈川の東海大相模や埼玉の花咲徳栄など他県の強豪と比較すると、完成度という点で物足りなさを感じました。
1年前は京都にいましたが、ちょうどその年の京都に似たイメージです。
選手個々のポテンシャルは高いが、チームとして機能しきっていない。
自分たちのペースで試合が進められず、ズルズル進むと決勝の佼成学園戦のように苦戦してしまう状態でした。
秋は3戦観戦。
いずれも二桁得点で、スコア上は4〜5点であれば打線でカバーできるチーム力ですが、どの試合も紙一重の試合だった印象です。
新2年、速球派の井上投手や秋エースナンバーを背負った、左腕・河村投手、右の中村投手など層の厚い投手陣が、相手をまずは最少失点に抑えるような安定感が出てくると、得点能力が高いだけに相手のミスも増え、より安定した戦いが出来るのではないかと思います。
夏は西東京の有力チームの一角であることは間違いありませんが、他の有力チームもまだまだつけいる隙はあるかなといった印象を持ちました。
(写真は日大三・井上投手)
引き続き西東京勢が優勢か?
秋のベスト8は西東京勢が「日大三(優勝)、佼成学園(準優勝)、国士館(4強)、明星」、東東京勢が「日大豊山(4強)、東海大高輪台、帝京、立正大立正」と4チームづつ。
しかしベスト4は西東京が3つと、組み合わせの問題もありますが、8強入りを逃した中でも、清宮選手は引退しましたが、変わらず夏の主力も残る早稲田実業や、甲子園4強メンバーが残る東海大菅生。
秋ベスト16入りしている公立の東大和、昭和など実力派が集結している西東京勢がやや優勢かなといった印象を持ちました。
東東京は、日大豊山や松澤投手を擁する帝京、今チームも安定している菅東一や、秋は東海大菅生に快勝した二松学舎大附などが8強入りした残りのチームと併せて引っ張っていくことになると思います。
秋の時点での注目チーム
日大三
さきほど触れましたが、当然秋季のチャンピオンチーム。
選抜でどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみです。
佼成学園
とにかくしぶといというのが印象。
秋は惜しくもあと一歩で優勝を逃し、選抜に黄色信号が灯りましたが、その悔しさを胸に過ごしているであろうこの冬を越えた姿は楽しみです。
決して派手な選手がいるわけではないですが、元気よくチーム一丸となって持ち味を生かせば夏も楽しみです。
(写真は国士館に勝ち50年ぶりの決勝進出を決めた瞬間)
国士舘
左腕エース石井投手は、スリークォーター気味のフォームからキレのいいストレートを投げます。
早大学院戦は圧倒的な内容でした。
久しぶりに甲子園も狙っていけるチームだと思います。
(写真は国士館エースの石井投手)
帝京
トルネードのエース松澤投手は順調に夏を迎えて欲しい大器。
小さくまとまって欲しくない選手です。
打線も長打力も兼ねた切り込み隊長、志田選手などポテンシャルは高いですが、クリーンアップの精度が秋はまだまだという印象。
松澤投手に続く2番手投手、打線強化がこの冬の課題だと思います。
(写真は帝京切り込み隊長、志田選手)
関東一
毎年上位常連ですが、今チームもポテンシャルは高いです。
特に1年から主力の石橋選手は東京一を争うスラッガーです。
「小さなエース」平川投手も好投手ですし、夏までに経験をつけていくと、混戦の東東京を抜け出てもおかしくないと思います。
(写真は石橋選手)
創価
帝京戦、敗れはしたものの試合内容は互角でした。
浪川選手の長打力は魅力的。
投手陣に安定感が出てくると、夏も面白い存在です。
(写真は浪川選手)
専修大附
秋の関東一戦。
コールド負けはしましたが、最後まで抵抗。
特に4番の松本選手。
後三塁打がでればサイクル安打達成という大活躍だったことが印象に残っています。
(写真は専修大附の主砲・松本選手)
二松学舎大附
秋は二次戦の初戦で、桜美林に2-1で敗れましたが、一次戦初戦では、昨夏の西東京大会も主力で活躍した、東海大菅生の戸田投手を完全に打ち崩した強力打線は健在。
投手陣が安定してくると再び東東京の中心に躍り出ても不思議ではありません。
(写真は東海大菅生戦、ホームインする畠山選手)
東海大菅生
秋は一次戦初戦で二松学舎大附に12-5と大敗。
選抜出場の可能性が早くも消えてしまいました。
しかしエース戸田投手に、スラッガーの片山選手ら選手層の厚さをとっても西東京の中心チームの一角であることに変わりはありません。
(写真はエース戸田投手)
聖パウロ学園
秋は一次戦を勝ち上がると、二次戦二回せんで惜しくも8強入りした立正大立正に3-2で敗れ16強入りは逃しましたが躍進したシーズンでした。
派手な選手は見当たりませんが、ベンチ入りを逃した控え選手も一体となった元気のいい、そして粘り強いチーム。
夏は西東京ですが、決してトップ層は手も足も出ない格の違いがあるわけではありません。
秋同様、チャレンジャー精神で盛り上げて欲しいです。
(写真は駒込戦でホームランを放った齊藤選手)
上位混戦「戦国東京」
さきほどの注目チームは秋に実際に観戦したチームから選びましたが、他にも早稲田実業はじめ有力チームが東西東京ともにいますので、春、夏とこの秋とは全く違う展開になっても不思議ではありません。
上位と言いましたが、本当にどのチームにもチャンスがある「戦国東京」です。
選抜前で気が早いですが、春の大会が今から楽しみです。